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山口 憲司; 志村 憲一郎; 鵜殿 治彦*; 笹瀬 雅人*; 山本 博之; 社本 真一; 北條 喜一
Thin Solid Films, 508(1-2), p.367 - 370, 2006/06
被引用回数:12 パーセンタイル:49.71(Materials Science, Multidisciplinary)成膜後の加熱処理が-FeSi薄膜からの発光(PL)特性に与える影響をより詳細に調べるために、作製した薄膜試料をさまざまなアニール条件で処理した。試料の作製はイオンビームスパッタ蒸着(IBSD)法もしくは分子線エピタキシー(MBE)法によった。いずれの製法でも、蒸着速度は0.5nm minとほぼ同程度で、膜厚は50-100nmであった。また、PL測定は1100-1700nmの波長範囲で行った。測定の結果、最も強いPL強度を示すのは、IBSD法で作製した試料を1153Kにて10Pa程度の真空中でアニールした場合であることがわかった。この場合、測定温度150K以下では、温度が増加してもPL強度はさほど減少しない。しかし、150K以上になると、温度の増加とともに急激に減少するとともに、ピーク位置も低エネルギー側へシフトすることがわかった。一方、超高真空(10Pa)下でアニールをした場合、アニールによりPL強度は著しく減少した。さらに、透過型電子顕微鏡による断面組織観察によって、高温での真空アニールによりシリサイド膜は数10nm程度の粒状となり、周囲をSiにより取り囲まれてしまうこともわかった。MBE法により成膜した鉄シリサイド膜についてもPL特性を調べたが、概して強度は弱く、また、アニールによる強度の増加もごくわずかであった。
志村 憲一郎; 山口 憲司; 笹瀬 雅人*; 山本 博之; 社本 真一; 北條 喜一
Vacuum, 80(7), p.719 - 722, 2006/05
被引用回数:9 パーセンタイル:34.33(Materials Science, Multidisciplinary)イオンビームスパッタ蒸着(IBSD)法により作製した-FeSi薄膜の発光特性に及ぼす、-FeSiの構造や表面組成の影響を調べた。本手法により、あらかじめNeイオンによりスパッタ洗浄したSi(100)表面上にFeを蒸着させることにより、973Kにて高配向性の-FeSi薄膜を作製した。用いた基板はSi(100)単結晶基板、及び、酸化物絶縁層上に100nm程度のSi(100)層を有するSIMOXと称する基板である。発光測定は、6-300Kの温度範囲で行った。いずれの基板上の-FeSiも6-50Kで0.83eV付近に鮮明な発光ピークを有し、その強度もほぼ同程度であった。しかし、Si(100)基板上に作製した-FeSi薄膜は、1153K,真空中(10Torr)でのアニールにより発光強度が劇的に増加したのに対し、SIMOX上で成膜した薄膜の発光強度は、アニールにより逆に減少した。いずれの薄膜もアニールにより大きくその構造が大きく変貌することが透過型電子顕微鏡による断面組織観察により明らかになった。さらに、X線光電子分光法による組成分析によると、SIMOX基板の場合にはシリサイド層直下の酸化物層から酸素が侵入することもわかった。こうした構造上、組成上の変化が観測された発光特性の変化と深く関係していると思われる。
志村 憲一郎; 山口 憲司; 山本 博之; 笹瀬 雅人*; 社本 真一; 北條 喜一
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B, 242(1-2), p.673 - 675, 2006/01
被引用回数:6 パーセンタイル:43.85(Instruments & Instrumentation)イオンビームスパッタ蒸着(IBSD)法により作製した-FeSi薄膜の発光特性を調べ、本手法による-FeSiとしては初めて、100K以下の温度にて0.77及び0.83eV付近に発光ピークを観測した。さらに1153Kで24時間以上アニールすることにより、ピーク位置は0.81eVへとシフトするものの、6Kでの発光強度は1桁以上増加した。アニール前の発光スペクトルは100K以上で消光してしまったのに対し、アニール後は、室温付近まで発光を観測することができた。
中西 康夫*; 若原 昭浩*; 岡田 浩*; 吉田 明*; 大島 武; 伊藤 久義
Physica Status Solidi (B), 240(2), p.372 - 375, 2003/11
被引用回数:19 パーセンタイル:65.58(Physics, Condensed Matter)窒化物半導体の光通信用素子への応用を目的に、TbドープAlGaNの発光特性を調べた。これまで、TbドープGaNでは4f-4f遷移による500nm600nmの波長を持つ発光特性が低温で出現すること,室温では熱消滅により発光が急激に減少することを明らかにしているが、素子応用にはより高温での発光特性が望まれる。本研究では、Al組成比を変化させることでバンドギャップを変化させ、熱消滅の要因となるErのトラップレベルからの電子の漏れを防ぐことを狙った。試料はサファイア基板上に有機金属気相成長法により作製した。Tbドープにはイオン注入(200keV, 110/cm)を用いた。注入後、結晶性の回復のため10%アンモニア含有窒素中で1000から1150Cの熱処理を行った。フォトルミネッセンスにより発光特性を調べた結果、14Kの低温においてx=0.1ではx=0に比べ5倍強度が強いことが明らかとなった。発光強度の温度依存性を調べたところ、x=0の試料では7.8meVの活性化エネルギーで発光が消滅するが、xの増加とともに活性化エネルギーが上昇し、x=0.1では70meVとなり、Alの混晶効果により高温でも安定な発光が得られることが見いだされた。
中西 康夫*; 若原 昭浩*; 岡田 浩*; 吉田 明*; 大島 武; 伊藤 久義; 柴田 智彦*; 田中 光浩*
Physica Status Solidi, 0(7), p.2623 - 2626, 2003/07
これまで、Euを窒化物半導体へドープすることで発光特性が発現することを明らかにしているが、さらなる発光強度の増加を狙い、EuドープしたAlGaN(0x1)の発光特性とAl組成の関係を調べた。Al組成の異なるAlGaNは有機金属気相成長法により作製し、イオン注入によりEu(200keV)を導入した。注入後、結晶性回復のため、試料は窒素中で1000から1600Cの熱処理を行った。発光特性はフォトルミネッセンス(PL)及びカソードルミネッセンス(CL)により調べた。その結果、Al組成によらず全ての試料でEuの4f電子間遷移に起因する発光(621nm)が観測された。Al組成比と発光の関係を調べたところ、x=0.5付近に発光強度の最大値があることが明らかとなった。これはAl混晶により結晶場が歪み、発光強度が増加するためと解釈できる。